グローバル人材育成教育学会 第3回全国大会


 

グローバル人材育成教育学会 第3回全国大会 

 

『日本・アジアにおけるグローバル人材育成の現在と未来』

  

 

日時:2015年11月13日 (金) 〜2015年11月15日 (日)

 

会場:明治大学駿河台キャンパス  リバティタワー (東京都千代田神田駿河台1-1)

 

総合司会:斉藤裕紀恵 (早稲田大学) / 内田富男 (明星大学)

 

<問い合わせ先>

 

第3回全国大会実行委員会(kanto-chapter@j-agce.org)

 

グローバル人材育成教育学会 第3回全国大会 HP

 


 

 

【招待講演】

 

日時:2015年11月13日 15:30〜16:45

 

講演者:松任谷愛介 / Cross Culture Holdings ( 総合プロデューサー)

 

 

タイトル:『クロスカルチャーのすゝめ』

 

グランドファザーズレター・ぼくらのワールドカップ・春画・刺青

 

〜グローバルな国イギリスに住んでいたら自分のやるべきことが見えてきた〜

 

 


<プロフィール>

東京杉並区生まれ。小中学校では神童と呼ばれるも、兄に感化され音楽に没頭するようになり勉強しなくなる。高校大学時代はイルカ、南こうせつ、ハイファイセット等のバックバンドとして活躍、レコーディングミュージシャンとして数々のアルバムに参加。大学1年2年の夏、米国へ音楽遊学。ヴァージニア州全米フィドル選手権で連続1位となる。それを境に日本での音楽活動への興味が薄れる。在米中ジョージワシントン大学に集まる留学生達と接してショックを受け、日本に戻り、グローバルビジネスマンに憧れて猛勉強を始める。1978年慶応義塾大学経済学部卒業後、横浜銀行に入社。渋谷支店、国際部、ディーリングルームで勤務。全国銀行協会論文大会で2年連続入選(1位と2位)、ご褒美にアメリカ留学のチケットを得る。TOEFL最低点でシカゴ大学経営大学院に入り、1988年シカゴ大学MBA取得。1989年より英国マーシャントバンクGuinness Mahon社に入社、同社取締役、代表取締役副会長職歴任。経営より実業が好きで、機関車トーマスやレコード会社立ち上げなど数々の映像、音楽開発に従事。ふたたび音楽やエンターテインメントへの興味が高まる。1997年、Guinness Mahonにおける全ての取締役職を辞職して、ロンドンにプロデュース会社Cross Culture Holdings社を設立し、プロデューサー兼代表取締役に就任。日欧文化の架け橋となるべく、音楽・映像・イベントのプロデュースや執筆活動に従事。普遍的価値を創造するプロデューサーとなることを目指して、現在に至る。

 

課外では、ロンドンの金融会社数社の顧問のほか、大英博物館日本会名誉会長(〜04年)、GFL実行委員会会長、海の向こうからメッセージを伝える会会長等を兼務。1989年から数年、英国暁星国際大学非常勤講師。2005年より立命館大学経営学部客員教授として 「プロジェクト研究」「海外インターン研修」指導(~12年3月)、2012年より同客員研究員(〜14年)など。

  

<講演内容>

米国留学とその後27年の英国での生活は、日本を客観的に評価することに役立っている。英国は島国であることから日本との同質性が語られるが、この2国は海に囲まれていること以外には共通項を見付け出すことが難しい。米国と英国もまったく異なる。文化的成熟度や民族レベルという点で比較する限り、英国は日本よりも20年、米国よりも、少なくとも50年ぐらい先進国なのではないかと感じる。

 

グローバル化がさらに進み、量から質の時代へと移行する中で、日本の社会システムのさらなる改善や人々の豊かな生活を標榜するとき、人種や文化の坩堝としてコスモポリタニズムを実践する英国は大いに参考になるものと考える。日本に何が欠けていて、どのようにすれば日本がさらに良い国になるか。それを考え企画実行することが18年前にクロスカルチャーという小さな会社をロンドンに立ち上げた理由である。本講演では、現在実施しているプロデュース活動のいくつか紹介しながら、日本を良い国にするための構想を述べたい。

 

普遍的価値

ネットがあればどこにいても情報にアクセスでき、不自由なく財貨サービスが手に入る時代。プロデューサーは価値を生むことが生業である。価格や情報のアービトラージが進み、商売の種の発見が難しくなる中、英国での経験から実はまだまだ手付かずの分野がある。普遍的価値のプロデュースである。プライスレスなヴァリュー=カネで買うことのできない価値。金儲けに直結しないことは優先順位が落ちてしまうのが資本主義社会の常である。英国にはチャリティー精神、騎士道精神、性善説的思考法、質実剛健、コミュニケーション至上主義、また手紙や読書の習慣を身に付ける幼児教育まで、日本人が忘れかけたプライスレスな価値観が受け継がれており、それらに着目することで、日本に向けてライフワークとしてやらなければならない仕事が生まれる。

 

プロジェクト1「グランドファザーズレター」

100年前に英国の元将校ヘンリー卿が自身の4人の孫たちに宛てて送った1200通の心温まる絵手紙が英国に現存している。「家族の絆」そしてメールやソーシャルメディアでは味わえない「手紙の温もり」という普遍的な価値を伝えるものとして、これまでにもテレビや紙媒体を通じて、また権利元から絵手紙を借り受けて展覧会を開催するなど、日本国内で普及啓蒙活動を行ってきた。昨年度よりグランドファザーズレターが高2の英語教科書に掲載されることとなり、毎年11万人の青年の目に触れることとなった。これを機に彼らにグランドファザーズレターをさらに浸透させるべく、文化財である絵手紙アルバムのオリジナルとともにヘンリー卿のひ孫にあたるグラマルディ氏を英国から招聘し、全国の高校への訪問を開始した。教科書と並行して生きた英語を学習し、さらに事前学習、事後学習を通じてネット世代に手紙というコミュニケーション手段の素晴らしさを知ってもらう意図だ。訪問した高校から大きな成果があった旨のフィードバックを得た。6年後の教科書改訂まで毎年継続実施する予定なので、この場を借りて、興味ありそうな高校のご紹介をお願いしたい。

 

プロジェクト2「我が国サブカルチャーの発信」

一昨年暮にロンドンで “Hokusai Exposed” と題する北斎の浮世絵とマッピング技術をミックスした展覧会を開催し、大英博物館の春画展とともに好評を得た。海外で浮世絵は日本を代表するアートとして広く受け入れられており、日本ではタブー視されている春画もまたユニークなジャパニーズアートの一部として認められている。

 

日本のサブカルチャーは英国・欧州で評価されている。たとえば縄という日本古来の文化から派生した所謂「緊縛」の世界もそのひとつ。日本の縛り師が渡欧して行う縄のショーが欧米のマニアたちの間で評判となっていることは、日本のメディアは伝えない。そして、もうひとつは刺青である。タトゥーはファッションの一部として、世界中で広く受け入れられているが、とくに繊細なデザインと墨の美しさが光る「和彫り」は愛好家にとって憧れであり、毎年、彫り師が施術のため渡欧すると予約が殺到するという事実。これも知られていない。日本では刺青はタブーとされるが、グローバルな潮流からみるとおかしなことである。オリンピック開催に向けて刺青に対する意識を改めないと、諸外国から「日本は差別的な国」というレッテルを貼られてしまうことになる。

 

ロンドンで、今月24日より「倶利伽羅」と題するミュージカルを公演する。その上で春画展の次なるものとして、日本の和彫り刺青展の開催を企画中である。知的好奇心の高いロンドン知識層に我が国の芸術文化を紹介すると同時に、日本へのフィードバックを通じて、刺青文化の再認識を促すことを狙っている。

 

プロジェクト3「ぼくらのワールドカップ」

立命館大学経営学部の教室とロンドンの事務所をサテライトで結び、グローバルプロジェクトを企画プロデュースする授業を行った。ぼくらのワールドカップは、ある帰国子女の学生の問題意識をきっかけとして誕生したプロジェクトである。日本に住む200万人と言われる外国人。その子ども世代は、日本を良い国だと感じて生活しているのだろうか。サッカーと音楽の祭典「ぼくらのワールドカップ」を毎年開催することにより、地域の子どもたちとの交流を深めていくことを志向する。国籍の違う子ども達の共生社会を実現するには、言語を必要としないスポーツや音楽を通じて結ばれる。地元の企業や個人、サッカー関係者やミュージシャンたちの草の根のチャリティー精神が大前提となる。これまで滋賀県南草津市、草津市、群馬県太田市、栃木県足利市、宮城県多賀城市で開催され、来年で6年目を迎える。また、優勝チームが台湾に招待され、現地の子どもたちと親善試合を行う試みも来年で4年目となる。波及効果は大きくないが継続実施することでモメンタムを作っていきたい。

 

どれもよちよち歩きの段階だが、job satisfaction を求めて、あと20年は真剣勝負を続ける予定である。

 

 

 

 

 

 

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